米倉の基礎工事

古い米倉部分の解体が終わったので、同じ部分に改築用の基礎を設けます。この次は柱の沈下などが起こらないように、そして、水回りが納まる部分で、以前はシロアリなどの被害も見られたので、コンクリートで基礎を設けることになりました。随分大げさなリフォームになりましたが、この部分をしっかり造っておけば、母屋や囲炉裏間の東西方向への傾きなどを受け止めて防止する機能も期待できそうです。こんな小さな面積のコンクリート打ちでも、ミキサー車でコンクリートが運ばれてくるのですね〜・・・「山のツバル」の工事では、コンクリートの使用も必要最低限にしています。その理由は・・・

コンクリートは実は二酸化炭素係数がとても高い素材です。石灰岩に高熱を与えてセメントを造りますが、その際の熱源、熱による化学反応、の2つの部分からCO2が排出されます。そして、原料の運搬時、工場で骨材と混合された後に現場まで運搬するまでの車両から出るCO2などなど、コンクリート造の建物は大量の二酸化炭素を排出して造られます。日本では、特に都心部では、このように環境に負荷を与えて造られた建物を、短い時は3年ほどで壊して建て替えたりします。僕は昔、建設会社の設計部で設計の仕事をしていたことがあります。コンクリートにも寿命があります、条件が良ければ50年〜80年は持ちますが、多くの場合、長くて30年位で取り壊してしまいます。その理由も、オーナーの変更、業態の変更、収益の改善、などなど理解はできますが設計者としては理解したくない理由で膨大なエネルギーを投入して建設された建物が日々壊されていく実態に触れて、自分の仕事の間違いに気がつきました。(その後、会社を辞めてツバルに関わるようになったという訳です。)

それに対して、木造の古民家は立派です。寺院仏閣は特殊だとしても、民家でさえ100年を超えて存在することができる。山のツバルは築80年とされていますが、母屋は多分もう少し古い物と思います。木材は実は二酸化炭素の塊なのです。空気中の二酸化炭素を太陽の力で光合成を行い炭素に変えて樹木は成長します。その木材は腐ったり燃やしたりすると二酸化炭素に戻りますが、家という形にして、木材の状態を保持すれば、二酸化炭素を長期にわたって貯蔵することと同じ意味があるわけです。そう言う意味でも、各地に放置されている古民家を再生して活用することには大きな意義あります。このことに気がついてから、「古民家に住む」というのは大きな夢でした。今まさにその夢が実現に向かって動いていると思うとわくわくします。

話が随分ずれてしまいましたが、1週間ほどで基礎工事が終わって、いよいよ棟上げとなります。綺麗に打てていますね〜 しっかり打設された床や基礎のコンクリートは、大気汚染などの影響を受けなければ100年ぐらいは機能します。もうあと100年!この家はここに存在することができるかもしれないのです。これほど嬉しいことはありません。

棟上げに先立って足場が組まれました。今にも壊れそうな米倉が無くなっただけで、ずいぶんすっきりした印象になりました。これから棟上げが始まる部分は、一階は台所の一部や風呂、洗面、トイレなどの水回り。米倉だった二階は管理事務所へとリフォームされます。