あと一息

3月に着工して、6月末にはだいたい出来上がるかな?という見込みで進んでいた再生工事ですが、口蹄疫の拡大防止の為に一時休止となりました。ん〜あと一息・・・やきもきしますが、見えない敵と果敢に戦っている周りの農家の方々の気持ちを考えると、じっと我慢するのが僕達にできる最大の協力です。

南側の全景です。随分すっきりしました。傾きと水平を直した母屋は、総入れ替えを行った縁側のすっきりした表情と相まって、建物全体がすっきりとして、生気が戻ったように見えますね。倒壊寸前だった米倉をリフォームした中2階の管理棟も手摺りが付いて良い雰囲気になっています。

まったく新しくなった南の縁側。縦横の線がすっきりと通って、美しい表情になりました。

内側から見るとこの通り。うっそうと茂ってきた目の前の植木を綺麗に整理すれば、良い雰囲気の縁側になりそうです。

こちらは北東の角からの北側全景。ひどい雨漏りが放置されていた北東の角は、屋根の工事後は雨漏りもなくなり、一安心です。内部の柱や梁に腐った後が残りましたが、それも歴史の一部となっていくことでしょう。後付けのトイレや押入など、ボロボロの表情だった部分も縁側に造り直して、すっきりとしています。南側は建具も新しく造作しましたが、北側の建具は倉庫に入っていた古い建具をリユースしています。なんで、こんな建具が倉庫にあったのかは謎です。幸か不幸か色々な歴史が古い家にはあるようです。

裏玄関から見た北側の縁側です。囲炉裏間の出窓などは傾いて落っこちてしまいそうなくらい痛んでいましたが、こちらも造り直してもらってしっかりとしています。

今回の再生工事で一番大きく変化したのはこの囲炉裏間だと思います。梁を見せる形での屋根の工事も終わっています。後は仕上げ工事が始まるのを待つばかりです。

どうすればいいか最後まで悩んだのがこの玄関です。右側、脚立が立っているところは、以前は外と繋がっていた大きな開口部だったところです。外壁を新設して、内部は押入にすることで、自然な感じで納めようとしています。左奥にも押入を新設して、ボロボロの外壁からの隙間風などを押さえようと考えていましたが、今回、西田さんと打ち合わせをさせていただいて、やはりここはオリジナルのまま残して、来てくださった方々に見て貰いましょう。ということになりました。なにしろ、杉の板1枚が外壁であり内部の仕上げでもあるというこの建物の特徴がここに見事に残っているのです。穴もあるし隙間もあるので、いつまでこの表情で残せるか分かりませんが、出来る限り残していこうと思っています。

古民家の再生工事は、まずオリジナルを知って、そこからどの程度改造されているか?ということを見極めながら進めることが重要です。改造されたものをオリジナルだと勘違いしないように、見極める為の資料をきちんと集めることが大切だと今回の工事でも改めて勉強させられました。

工事はあと一息、口蹄疫が終息すれば半月くらいで工事完了の見通しです。