薪ストーブとの出会い

薪ストーブ

古民家改修をしている過程で、数人の人から薪ストーブを入れると良いよ〜というお話を聞きました。鹿児島だからそんなに寒くはないだろうと高を括っていたのですが、やはり山の中の冬は厳しいようで、周辺にも薪ストーブを導入している家もあるということ。薪ストーブはバイオマスエネルギーの活用ですから、石油ファンヒーターやガスファンヒーターとは比べようがないくらい低炭素です。しかし、ストーブ本体、壁や床への断熱のための煉瓦の施工、煙突工事、等々を考えると、僕たちのすっからかんの財布からはその予算が出てきそうもありませんでした。

でも、いったい幾らかかるのか?まずこれを見極めよう!ということで、早速図面を引いてネットで値段を調べてみます。ストーブ本体が4万円くらいの機種で考えると煙突代もいれて10万強。。。しかし、エネルギーの自活には必需品!ということでネットのオークションなども見ながら、さらに安い方法を検討しました。

ある日、オークションサイトに北欧で製造されている薪ストーブの中古品が出品されていました。中古なのに30万近い値段にまず驚きましたが、デザインはやはり秀逸です。日本製の中型の薪ストーブは高くても8万円、この値段の差はなんなのだろう?さらに調べてみると、北欧の高い薪ストーブは、日本製の物と根本的に考え方が異なるようでした。

さらに色々調べてみると、Tuvalu Overviewの東京事務所から遠くないところに「ファイヤーワールド永和」という薪ストーブ専門店があることが分かりました。2010年10月のとある日曜日、妻と二人で訪問してお話を聞いてみようと出かけてみました。前もって連絡もせずにお伺いしたのですが、代表の富井さん自らストーブに火を入れて、仕組みや使い方などを丁寧に教えてくださいました。富井さんは日本での薪ストーブのパイオニア的な存在で、僕たちと同様に自然エネルギーの活用を考えた上で薪ストーブの販売を行っているとのこと。現在では、岩手県の葛巻町に薪を生産する森林も保有し、自分の店でストーブを購入してくれたお客さんに薪を提供することで、そこから排出された二酸化炭素を、葛巻の森が吸収して、また薪を作る。というサイクルを作り出し運営しています。

薪ストーブのことを熱く語る富井代表のお話には説得力があり、僕も妻もグイグイ引き込まれていき、あっという間に北欧製の薪ストーブのファンになってしまったのでした。日本には薪ストーブに関する法律や規格、規制というものがありませんが、欧米には安全性や排気ガスに厳しく配慮した規格や規制があって、それに適応した設計になっていること。まずここが重要だと感じました。また、安いストーブはただ薪を燃やして熱を作り出すのに対して、富井さんが取り扱っている北欧の機種は、まず薪の中の揮発成分を燃やします。この過程で薪は炭に近いものに変化していきます。その後、その炭を熾火の様な状態で燃やし続けていくのです。二酸化炭素の発生も少なく、燃費もよく、100kg以上ある鋳鉄のボディーからやんわりと広がる遠赤外線によるやさしい暖かさは、例えようのないものでした。

折角なので、山のツバルの図面などを見ていただきながら、設置場所や適合機種などのアドバイスもいただきながら、いったい幾らくらいかかるものか?気になる値段も教えてもらいました。そこで、ビックリしたのはストーブの価格よりも煙突の値段です。薪ストーブには電気的なファンはついていません。しかし、新鮮な空気を送り込んで薪を燃やさなければならないのですが、その空気をストーブの中に引き込んでくる力は煙突の排気によって生み出されます。煙突内でスムーズな排気の流れを作るためには、まず、煙突の長さ、そして、煙突内部を通過する煙りが煙突先端まで熱いままで排気されること。この2点が重要とのこと。この条件を満たす煙突が断熱煙突です。ステンレスのパイプを2重に重ねてその間に断熱材を充填した煙突です。それはそれは立派な煙突で、値段も圧倒的です。ストーブ本体より煙突の方が高額です。

普通に考えると施工費まで入れてだいたい100万円はかかるという高級薪ストーブ。しかし、色々知ってしまった後では、日本製の安いストーブにはもう戻れません。太陽電池パネルだった数百万するのだから、冬場の暖房の導入費に少しお金がかかってもしょうがないかな〜・・・

2時間ほどお邪魔していたと思います。お礼を申し上げて、お金のことも併せて検討させてください。と言い残してお店を後にしました。あ〜どうしよう・・・こういう事で悩んでいる時が一番幸せだったりしますね。

[ 参 照 ]
ファイヤーワールド 永和
東京都墨田区立花4-25-5
TEL 03-3616-2871
お問い合せ先  安東 正夫
メールアドレス:eiwa@fireworld.co.jp