障子の張り替え

再生工事が終わっても和室はなんだかお化け屋敷のような印象が残っています。やっぱり障子を張り替えないとね…昔の家は障子ばかりなので、いざ張り替えようと思うと枚数があって大変です。それに、この家の障子は張り替えの時に随分雑に扱われてきたようで、桟には数十年ぶりの汚れや糊がこびり付いていて、それを一つ一つ掃除をする作業は、本当に大変な仕事でした。あんまりきつくこすると桟が折れてしまいそうになったり、もともと、桟が折れているところもあって、それをたこ糸で止めている部分があったり、そういう不具合を丁寧に直しながらの作業です。

綺麗になったところで新しい障子紙の貼り込みですが、これがまた、とても大変です。というのは・・・

これが紙を貼る桟木の表面なのですが、木目が浮いてきてしまっていて平滑ではないので糊が旨くつかないのです。なんでこんなに木目の筋が浮いているのか?その理由は、昔、この家の縁側は外だったからなのです。日本の家は木と紙でできている!という驚きの言葉を残した外国人建築家がいましたが、縁側は濡れ縁というだけあって雨が降ればぬれる場所、その縁側と畳の間には障子が一枚あるだけだったのが昔の造りです。ちょっと信じられませんが、この障子の桟は、昔から雨に濡れ続けたからこそ、木目の筋が浮いてきてしまっているのです。多分、この家が建てられた時に作られた障子なのでしょう。80年モノの障子だと思うとなんとなくいとおしい気もしてきますが、糊がのらずに苦労するのには変わり有りません。

ようやく障子紙を貼り付けて乾いたところで霧吹きでしめらせます。それが乾くとピンと張った綺麗な障子に生まれ変わりました。苦労した甲斐があって部屋も凜として美しい表情になりました。お化け屋敷から、味のある古民家にようやく生まれ変わりました。