ムササビ 対策から共存へ

困った困ったと頭を抱えていても事は先に進みません。とりあえず、瓦の下の軒天の穴は塞がなければならないので、屋根にハシゴをかけて瓦を外すことにしてみます。だいたいこのあたりかな?というところを一枚めくってみると、杉の皮で出来た大きな巣が見えてきました。

周りの瓦もはがしてみると・・・なんとま〜・・・大きな穴です。しかし、子供の姿は見えません。多分、この奥にいるのだろうと思って手を伸ばしてみると、

いましたいました、可愛いムササビの赤ちゃんです。さすがにムササビの赤ちゃんは生まれて初めての遭遇です。小さいのに尻尾も長い爪もあります。耳がしっかりしているのも印象的です。このまま、杉の皮を残して置いたら、また、子育てに使われてしまいそうなので、巣の材料を全部取り出そうと思って、手が届く限りを掃除していると・・・

なんともう一匹出てきました!あー取り残さなくて良かった〜。。。右側の赤ちゃんをよく見るとすでに飛翔もついているのが見えますね〜、こんなに小さくても立派なムササビの形をしています。この子達をどうするべきか?考えつつ、取り急ぎ屋根の修理を進めます。

まず軒天側の穴を塞ぎます。適当な古材の板を並べて、釘とビスで固定します。その後、物置小屋にあったちょうど大きさが合う杉の板を野路板として穴にはめ込みます。

瓦の桟木も付けて、なんとか穴を塞ぐことは完了しました。こんな日に限って晴天!腕がひりひりします。

この後、2匹の赤ちゃん達をどうすればいいか?まずは鹿児島県の担当部署に電話で問い合わせをしてみます。

Q:ムササビは法律(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)では飼育することが出来ないと聞きましたが本当ですが?
A:そうです、捕獲も飼育も出来ません。
Q:屋根裏にムササビの赤ちゃんがいるのですが、どうすれば良いでしょうか?
A:捕獲する資格を持った業者がいるので、そういう会社に依頼してください。役所から具体的な名前での紹介は出来ませんが、ネズミの駆除などをしている会社です。 捕獲した後、放獣してくれます。
Q: 産まれたばかりの赤ちゃんを放獣したら死んでしまいますよね?
A:あー、そう言うこともありますね〜
僕:唖然・・・・
Q:飼育すると罰則があるのですか?
A:詳しい資料が手元にないので分かりませんが、確か、5〜10万ぐらいの罰金か、懲役刑の場合もありますよ。
Q:法律のことは余りよく分からないのですか?
A:ええ、国が決めた法律ですので、県はそれを運用するだけですから(当然でしょうという感じで)
Q:そちらは自然環境保護課ですよね?
A:ええそうですけど(きっぱり)
Q:普段の業務はどのようなことをされているのですか?
A: 保護区域の管理です。

ここまで話を聞いて馬鹿馬鹿しくなって丁寧にお礼を述べて電話を切ったが、電話口に対応した担当者は、いったい何の電話だったのか?というニュアンスを残して電話を切りました。国が決めた法律なので、その内容は理解せずにただ目的もなく運用するだけという、よくある役人の姿勢にがっかりです。自然保護課は自然を保護しようなんて微塵も考えていないわけです。

こういう信念のない無責任な仕事を公務員が続けている限り、日本には危険が増えていくばかりのような気がします。現在の原発問題もその良い例です。しかし、公務員の姿勢を変えていくことは、官僚や政治屋を変えていくことと同じくらい難しい問題のようにも感じます。

気を取り直して、鹿児島の動物園に電話をしてみます。電話で対応してくれた担当者は、動物が好きなんだろうな〜ということが分かる優しい口調で、面白い話を教えてくれました。「山道などで、ムササビの赤ちゃんが落ちていたりしても、拾わずに、その場にそっとしておいてあげてください、親は昼間でも、必ず赤ちゃんの事を見ていますから、夜になって人気が無くなったら、赤ちゃんのところに来て、近くで子育てが出来るところを見つけ、そこで、子育てを続けます。」なるほど!ということは、巣箱のような物を作って、もともと巣があった近くに設置し、その中に赤ちゃんを入れて置いたら、その中で親は子育てをしてくれるのではないだろうか?と考えて、担当者に聞いてみると、ベストな方法は、屋根裏にそっと戻してあげることなのですが、それでは、家が傷むし、住人が寝不足になってしまいますから、巣箱をおくというアイデアは、良いやり方だと思いますよ!と言ってくださいました。

しばらく悩みましたが、ムササビの赤ちゃん、巣立つまでに2ヶ月ほどかかるようで、その間、夜中に起こされ続けることを考えると、やはり、巣箱に入れて、育てるのは親に任せるのが良いだろうと結論が出ました。

で、早速巣箱作りです。手近にあった板の大きさがちょうど良さそうだったので(たただのカンです)、その板を土台に巣箱を作ります。大きさは50cm×25cm×高さ35cm程度です。

出入り口と、点検観察用の窓も付けて出来上がりです。

早速赤ちゃんを巣箱に入れて、巣があったすぐ近くの雨戸の戸袋の上に設置してみました。

雨もあたらないし、南側なので寒くないし、もともとの屋根裏とほぼ同じような環境だと思います。無事に親が見つけて子育てを続けてくれるかどうか心配ですが、このまま様子を見守ることにします。

翌日、昼間になって、こっそり巣の中を覗いてみると、なんと!親のムササビが巣の中で熟睡しているではないですか!大成功です!!これで僕たちの安眠も妨害されず、建物も傷まず、ムササビは多分、安心して子育てを続けてくれるでしょう。いや〜、、、ホッとしました。

今後の赤ちゃん達の成長を観察する楽しみも出来て大成功です。

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