足踏み脱穀機での脱穀作業の際に、脱穀した後、稲藁混じりの籾をフルイにかけて選別します。その際、フルイに残った稲藁には沢山の籾が付着しているので、それを、分別する作業を始めました。今回はNPO法人Tuvalu Overviewの副代表の川阪さんが大阪から助っ人に来てくれました。
藁屑のアップです。結構お米が混じっています。しかし、絡みついていてなかなか籾だけ選別することが難しい状態です。脱穀の際にこのような藁屑が大きなゴミ袋10個分ほど出ました。それをブルーシートの上に広げて、とにかく棒で叩きます。叩いているうちに稲穂にくっついた籾や、稲藁に絡んだ籾が落ちていくというのですが・・・・
1袋分の藁屑を、2時間半ほどかかて、叩いて、ふるって、穂先につい籾は指で落として。。。選別したのは手箕(緑色のチリ取り)に一杯分ほど。それも細かい藁屑に混ざった籾、これを、さらに選別するために先日修理をした唐箕を使います。しかし、シートの上に置いてある選別が終わった藁屑にもまだまだ籾殻が残っています。それをどうすればいいか?は唐箕をしてから考えることにして・・・
ちょうどその時、タイミング良く師匠の進一さんが野菜を持ってきてくれました。おっ師匠、これは良いところに!是非、唐箕の使い方を教えてくださーい!!ということで、師匠のお手本と指導の下に唐箕作業のスタートです。
これだけ藁屑が多い場合は、まず、大雑把に唐箕に通した後に、もう一回、今度は丁寧に唐箕を通して選別終了。ここまでで3時間・・・あと9袋残っています。。。うーん、これはいったいどうしたものか?
こういう時も頼りになるのはお隣の安人さん、牛に餌やりをしているところに押しかけて、事情を説明すると、あーそれなら、うちのハーベスターを使って良いですよ!そうじゃないと時間がかかりすぎますよ。とのこと。ハーベスターとはエンジンで動く脱穀機のことです。化石燃料に頼らない農業を目指す僕たちとしては、ハーベスターに頼るのはどうよ?という気持ちが強いのですが、ものは試し、機械がどれだけ凄いのか一度知っておくのも良いことだろうと言うことで、お言葉に甘えてハーベスターの登場。
エンジンかけて、出力を調整して、通常は穂が付いている稲藁を流し込んでいく投入口に藁屑をグイグイ押し込んでいきます。
右奥に選別された藁屑が吹き出されていきます。手前の左側に吊られたコンバイン袋に籾だけが溜まっていきます・・・・それも、ものすごい早さで・・・
それこそ、本当にあっという間に10袋分の藁屑の選別が終わりました。音もうるさいし排気ガスも臭いしガソリンの臭いもするし、でも、このパワーには圧倒されます。こういう機械が登場した時のお百姓さん達の驚きと羨望の気持ちが痛いほど良く分かります。今はこれよりもさらに大型で高機能のコンバインが主流になってきていますが、こんな機械を買っても元が取れるほど農業は儲かりません。しかし、高齢化が進む農村で一度機械に頼る楽を覚えると、そこから昔に戻るのはとても難しいことなのだと思います。
唐箕からハーベスターへ、それは、人力から化石燃料への大変化の構図です。安人さんの話では、足踏み脱穀機や唐箕を使っていた時代のお米の代表的な品種は「農林48号」等は、稲穂からの籾の実離れが良く、稲刈りの時に刈ってその脇に置く時に籾がバラバラと落っこちてしまうほどだったのだそうです。そういう稲ですから、足踏み脱穀機でも容易に籾だけが外れ、今回のように、藁屑に籾が混ざる量も全然少なかったというのです!
しかし、機械で脱穀するには実離れが良すぎるのも問題です。機械化に合わせて籾が離れにくい品種へと改良(?)されて、今の品種が出来上がっていということです・・・・
うーーーん、
化石燃料依存への変遷は、ただ機械が導入されただけではなく、お米の品種も変えながら進められてきたということは、やはり、こういう経験をしてみないと見えてこない事でした。ビックリするやら、ガッカリするやら、機械に負けたような、それでいて、邪魔だった藁屑の袋が無くなってすっきりして嬉しいような、なにか、複雑な思いで機械を見つめる午後でした。
ちなみに、藁屑10袋から選別された籾は20kgにもなりました。うーん、機械、恐るべし。