新燃岳と大飯原発運転差止請求

先週に引き続き、今週もトレッキング。今回は1700mの韓国岳を目指します。折角なので日本で一番高いところにある火口湖「大浪池」を半周してから韓国岳に登頂するコースを選んでみました。登り始めてすれ違う人に教えて貰ったのですが、このコース、急な階段ばかりでかなりキツイ・・・韓国岳に登るのだったら、先週出発地点にした、えびの高原側から登ったほうがイイヨ〜 ・・・トレッキング2回めにして選ぶコースではなかったかな?

季節も天気もよく、大浪池までは軽快な足取り、とても美しい火口湖の湖面を見ながらグルっと半周して、いよいよ韓国岳登山コースへ突入。うわさ通りのキツイ階段ばかりの斜面・・・休み休み登って植生が低木に変わる高度で振り返ると

大浪池が見えてきました。その昔は火山だった(4万年前)ことがよく分かる火口周辺の円形の尾根の綺麗なラインと、湖面の青のコントラストが美しいですね。登って振り返る度に見え方が変わる火口を堪能しながら先に進みます。

途中から右手に新燃岳の火口も見えてきます。たまに小さな水蒸気を吹き上げる火口を見ていると、今でも活動中であることがよくわかります。

新燃岳の火口は川内原発から、直線距離で67km程度のところにあります。他にも北には阿蘇山、南には桜島と火山大国。しかし、川内原発の安全基準の判断材料には火山の影響がほとんど含まれていないことが、最近になって火山学会などから厳しく指摘されています。

日本火山学会:原発対応委員会を創設 巨大噴火リスク議論

地震だけではなく火山のリスクも含めた上で、再稼働ではなく廃炉という選択をする。日本全国の原発に当てはまる、今ではコモンセンスと言っていい考え方だと思います。金に執着する原発村が既得権をいつ放棄するか?大量に保有することになってしまったプルトニウムの処理をどうするのか?問題は山積ですが、「大飯原発3、4号機運転差止請求」に対して、福井地方裁判所が下した運転停止の判決を見ると、ようやく、市民の声が核心に届き始めた感があります。

特に、原発の再稼働に対して影響を受ける範囲を250kmとし、その範囲に居住する人の要望が再稼働の可否判断に影響力を持つ!としたことは画期的です。そして、人間の生きる権利と比較すれば、原発というのは発電の一つの選択肢に過ぎない!としました。この判決を真摯に受け止めれば、国内に再稼働できる原発は無いでしょう。

また、電力会社の「原子力発電所の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている」とする主張も、「原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。」と一蹴した点も素晴らしい判決です。

大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文

向かって左の火口が新燃岳、その後ろに高千穂の峰が見えています。右手は大浪池。写真中央の奥には国分の街、その背後にうっすらと桜島が見えます。この美しい大パノラマはすべて火山活動でできたのです。

判決文の最後に「原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」

まさにこの言葉を実感できる景色が目の前に広がっていました。

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