オフグリットへ向けて

昨年末にパリのCOP21では、地球環境に大きな影響を与えるとされる二酸化炭素の排出を「0」にするパリ協定が結ばれました。世界は新たな目標を得て、より進んだ低炭素社会(二酸化炭素を排出しないシステム)に移行していくことになりました。

低炭素社会の暮らしをスマートに実現することを目指す「山のツバル」でも、エネルギーの自給へ向けての第一歩が始まろうとしています。

電力大手5社の電気は原発由来の電力も含まれているので早く契約を替えたいものです。それにたいして電力自由化がもうすぐ始まります。しかし、大手5社以外の電力会社から電気を購入するとしても、原発への補助金などは電気料金に算入されてしまいます。

色々検討すると、道は厳しいのですが、やはり電力会社からの電力線をアンプラグドして、エネルギーの自給を目指すオフグリットへの移行がベストです。この方向を現状を踏まえて検討する場合、まず電力を生み出してくれるソーラーパネルが必要です。他の選択肢も少しずつ増えてきていますが、安定性と実績では今のところソーラーパネルの選択がリーズナブルだと思います。

上の写真の右側、薪小屋の中に3月22日に到着したソーラーパネルが納められています。出力185Wのシャープ製10枚です。希望小売価格で6〜7万円ほどするパネルですが、多少の汚れがある製品ということで格安で入手できました。

そして、夜間でも電力を使用することを可能にするためのバッテリーも重要です。電力をソーラーで作って、バッテリーに保存して、節電しながら使うことで、電力の自給が確立できるかも知れません。

写真のバッテリーは「NPO法人 非電力地域の人々に蓄電池を送る会」代表理事の鈴木さん夫婦が埼玉からわざわざ届けてくれた産業用バッテリーです。このバッテリーは企業の工場などで非常用電源として使われていたものを、鈴木さんのNPOで再生した物で、新品で購入しようとすると車が買える値段になってしまうバッテリーを本当にリーズナブルな料金で、同じくNPO法人の代表を務めている低所得者の僕でも購入できる金額で提供してくれています。

MSE-500という型番のバッテリーの受け渡しの記念写真。左がはるばる埼玉からいらっしゃった鈴木一郎さんです。MSE-500は自動車用バッテリーの高さを倍にしたくらいの大きさですが、重さが35kgもあります。今回は12台運んでもらいました。

MSE-500は2v500Ahという規格のバッテリーなので、バッテリーからの直流電力を、家庭用の100vの交流電力に変換するインバーターの規格に合わせるためには、6台(12v)若しくは12台(24v)という台数が必要になります。まず12台で検討を進めていますが、ソーラーパネルからの電力を効率よくバッテリーに充電するためのチャージコントローラーの規格を考えると、バッテリーを24台導入するほうが効率が良さそうなので、今後、その方向も検討していくことになりました。

「山のツバル」にはテレビやクーラーはないのですが、冷蔵庫や洗濯機、もちろんパソコンもあります。また、バイオトイレも結構な電気を消費しています。長くて高湿度の状態が続く鹿児島の梅雨の時期には、カビを防止するために除湿機もフル稼働します。年間を通してみると梅雨時が最大の電力使用量となり200kwh/月程度になります。これは1日にすると6.5kwh(200÷31日)使用している計算になります。

この数字は、一般的な家庭での電力使用量と同程度になります。

この使用料に対して、MSE-500の500Ahという容量は、2V×500Ah=1kWhとなり、12台導入しても12kWhしかありません。2日雨が続くと、バッテリーの中の電気がなくなってしまうという計算です。

こう考えると電力会社から電気を購入できるということは本当に便利ですね。

ソーラーパネルを載せるための薪小屋は、基礎の束石を据え付けたところでツバルへの海外出張が入ってしまったので、相変わらず工事中。妻のお兄さんがちょうど遊びに来ていたので、資材にするべく廃材の釘抜きをお願いしました。

この角材、通販業者さんの倉庫の床板を支える下地材だったものです。3年ほど前に解体を手伝った時に貰ってきたもので、ぶっとい釘がザクザク残っていて、なかなか思うように使用できなかったのですが、2人で一気に釘の処理ができたので、今後、いろいろな用途に使用できそうです。

作業の後は囲炉裏を囲んで乾杯!最高の贅沢です。

今後、オフグリットを検討してみようと言う方は、「NPO法人 非電力地域の人々に蓄電池を送る会」のホームページを是非チェックしてください。再生済みのバッテリーの在庫と価格も出ています。驚きの値段です。ちなみにMSE-500は新品では13万円ほどしますが、鈴木さんのNPO法人では10,500円!!!という値段で販売しています。ちなみにソーラーパネルも鈴木さんの団体から購入しました。

同団体では産業バッテリーの引取も行っています。全国どこにでも使用済み廃棄バッテリーを引き取りに行くとのことですので、バッテリーを有効に処分したいと検討している企業の方にもお薦めします。

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