田舎暮しの場所を探す際、重要なチェックポイントは色々あります。数ある中でもネット事情を重視する人も多いことと思います。特に僕のように半農半Xでの暮らしを目指す人にとって、インターネット環境は早ければ早いほど嬉しいものです。
山のツバルは改築工事を始めた2010年の時点で、周囲に携帯の基地局がなく、AUのメールがたまに受信できるという状況でした。引っ越してきてから、NTTのADSLを申し込んで、かろうじてインターネットは繋がったものの、そのスピードたるや、、、ブロードバンドには程遠い状況。
ADSLの契約は一番スピードが出ると説明された「モアスペシャル」。条件が良ければ下り47Mbpsとされています。実際にスピード測定をしてみると、、、
What the hell !、下り4Mbps!しかも上りは0.4Mbps・・・・道理で仕事が進まないわけだ(笑)というか冗談抜きで数十年前のスピード。ネットで仕事をしている者にとって、上りスピードは下りよりも大事です。ホームページの制作、写真や資料を客先に納品する、ブログの書き込み、こういう作業の際には上りが早ければ早いほど効率がいいし、リズムよく仕事ができます。
ADSLは基地局からの距離によって速度が変わってきます。では、どのくらい離れているのか? NTTはおおよその距離を開示しています。「線路情報開示システム」で計算できます。線路って言うからJRか?とか思いますが、電話線の線路ですね。計測の結果は3.7km、損失が33dbあります。NTTのチャートを見ると下り10M、上りは1Mは出る程度の距離、、、NTT西日本に電話で確認してみると、モアスペシャル契約なので、実際には経路が短縮されていて、基地局から2.4km程度の距離とのことですが、いずれにしても上りは1Mしか出ないということです。
NTT西日本に周波数帯の調整などを行ってもらったところ、下り6.5Mbps、上り0.8Mbps まで改善されたものの、所詮、この程度(涙)
では代替案はないのか!ということで光ファイバーの導入時期をNTTに聞いてみると、「資料がございません」とのこと「ございません」じゃないよ!丁寧だと思って使っていいるのかもしれないけど、慇懃無礼というんだよ!とか説教することなく電話を切りました。
他にはBTVというケーブルテレビ局がありますが、メールで問い合わせても返事がなく、5回目くらいのメールの問い合わせに対して、なんと、電話で返事がかかってくるという時代錯誤感丸出しの対応。ケーブル敷設の計画はありません(キッパリ)。。。
ん〜かくなる上は、小さな抵抗ですが、LAN環境の見直しを!ということで、Wi-Fiルーターの交換をためしてみることに。今までは、ツバルに来ていたODA関連の工事会社から貰った中古のルーターを使っていましたが、最近、熱暴走のような症状もあり、交換してみました。
電波技術にはめっぽう強いといわれるNECのAtermWG1800HP の2台セット。型落ちなので、最新型と同じ値段で2個買えます。なぜ2台必要かというと、古民家は平面的に広くて、1台だけだと、隅々までWi-Fiの電波が届かないのです。なので、1台は親機、もう1台は中継機として使って、範囲を拡大する作戦です。壁につけられるデザインも◎です。
結果は大成功で、範囲は広くなり、動画の視聴なども、一時停止がなくなり、かなり快適になりましたが、上りのスピードは変化なし。。。ネットワークサーバーとの速度は早くなったので、写真のバックアップの速度も多少改善されました。
ちなみに、最近のWi-Fiの電波は2.4GHzと5GHz の2つの帯域をサポートする機種が一般的です。2.4GHz帯の電波は、波長が短いので、障害物に強く、飛距離が伸びるそうです。その反面、家電やブルートゥース、隣家との電波干渉などで、通信速度が遅くなる事もあるようです。
5GHzはスピードは出るけど、距離は短め。新しい帯域なので電波干渉の可能性が低く安定する。という特徴があるようです。電波を受信する機器が5GHzに対応していれば、まず5GHzで設定するほうが良さそうですね。ド田舎では隣家の電波干渉は気にしなくてもいいので、5GHzで受信できない時は2.4GHzに設定してみると、意外と電波をつかめたりします。
LAN環境が改善されたところで、やはり、WAN側、上り速度を改善したい!最近スマホなどで使えるLTEはどうだろうか?ということでLTE接続したiPhoneをMACにデザリングして速度を見てみると。。。
おーADSLより全然良い!でも、iPhoneで契約しているSIMはb-mobileの格安SIM。今の契約だと1ヶ月のLTE使用量は1GBまで。使用容量は1500円で5GBまで追加できるので、問題なさそうですが、iPhoneを長時間デザリングしつづけるのはいかがなものか?海外出張もあるため、SIMフリーのiPhone6を使っていますが、高価なので、ちょっと不安が残ります。
で色々調べてみたところLTEを据え置き型のWi-Fiルーターで受信する機器がいくつか出ていることが分かりました。いずれも、MtoMと呼ばれるシステムに投入される予定で設計されている機器です。遠隔地のソーラーパネル郡のステータスをLTE経由で送受信するなど、の用途向けに開発されているようです。
安定性や信頼性が大切なのだと思いますが、いちいち値段が高い!だいたい10万円以上はするうえに、Amazonとかヨドバシとかでは売っていませんから、安くなることも期待できません。そんな中で手が届きそうなルーターがありました。
じゃ〜ん! (株)ファイバーゲート謹製FGN1000LTE 売価おおよそ5万円!!!
内部にはシムを格納するモジュールがついていて、初期設定後は、電源投入と同時にLTE接続をして、30秒ほどでWi-Fi環境が立ち上がります。Wi-Fiも2.4GHz、5GHz、両方に対応、裏側にはLAN端子が4つもついています!ネットワーク・サーバーもGiga規格で接続できます。開発コンセプトはバスなどの車両に搭載して、乗客向けにWi-Fi環境を提供するということ。なので、複数接続でもスピードが落ちない!ということも売りにしています。もちろんDC12Vでの動作となっているので、キャンピングカーにも設置できます。
2年ほど前に完成した、直近の携帯基地局はドコモの800MHz帯、プラチナバンドとも言われています。スピードはそこそこですが、距離が伸びるようで山間部向けに多く設置されているようです。なるほど、まさしく山の中。ちなみに山のツバルの基地局からの距離は145mです。規格では75Mbps〜35Mbpsというスピードが出るそうです。
気になる実効スピードは
おーさすが据え置き型、アップロードでも10Mbps近い数字!!!! ただし、このスピードはMVNOとキャリア間の通信状況で刻々と変化します。それにしても・・・このド田舎では相当嬉しいスピードです。上記はMACとFGN1000LTEをイーサーネットで有線接続した場合の数値です。ではWi-Fiではどうでしょうか?
PINGを見ると、若干の違いがありますが、Wi-Fiの性能も良い感じです。ちなみに、HOSTをHaebaruという沖縄のサーバーにしているのは、僕が運営しているレンタルサーバーが沖縄にあるからです。
時間も変えて10回ほどスピードテストしてみましたが下りは5Mbps〜12Mbpsの範囲、上りは8Mbps〜12Mbpsの間で変動します。ADSLより格段に早い!
参考までにWi-Fiの性能は(Wi-Fiは建物の構造や壁量などで結果は大きく変わります)2.4GHz、MACを近接の場合145Mbpsの通信速度。7m離れたところでは26Mbpsとなりました。10m以上離れると流石に圏外になりますが。(NECのAtermWG1800は流石に飛距離も頑張っていて、室内で15m離れた座敷奥でも39Mbpsの接続ができました。)
これならADSLを解約してLTEに一本化してしまえ!ということにしたいところですが、問題があります。
MVNO各社が販売しているSIMの上限が 7GB/月 となっている点です。それを使い切るとスピードが200Kbpsになってしまいます。
ここにはテレビが無いので、情報はすべてネット経由、FB経由での動画も良く見ます。iPhoneも電話よりSkypeやFaceTimeを酷使していますからWi-FI経由のネット利用量は7GBではとても足りません。
通常用途にADSLを使用して、仕事用だけLTEを使うなど、切り分けると理想的かもしれません。
SIMの選択も難しいところですね。b-mobileの「おかわりSIM」は段階的に使用量を増やせるので便利そうですが、スピードが遅いという評価が目立ちます。最近になって好評を得ているmineoも使用量に応じた段階的な契約ができますが、運営しているケイ・オプティコムという会社、調べてみると「関西電力グループ」ということで、残念ですが、こことは契約できません。
LTE制限なしのSIMが出るという噂もあるので、もう少し様子を見ながら検討を進めようと思います。