山のツバルのトイレはオガクズを活用して糞尿を処理するバイオトイレです。山小屋など下水道が整備されていないところに設置されるタイプの機器です。妻と2人で使用している環境では、オガクズを交換するのは年に2回程度で、それほど苦もなく使用していますが、問題なのは電気代です。
ステンレス製の処理槽の中では、便はオガクズの中の細菌によって消化されますが、オガクズを通り抜けて底に溜まった尿はヒーターで温めて蒸発して処理します。その電気代が2000円/月ほどかかります。これはソーラーパネルのオフグリッドには荷が重いものです。また、常時2台の換気扇も動かしています。
来客時には尿の量が増えるので、処理槽内で蒸発処理が間に合わなくなることもありました。
簡単な解決策は屎尿分離型にしてヒーターを使わないようにすることです。そこで、色々探してみたところ、Separette Privy500 という製品がスウェーデンで販売されていることがわかりました。
イラストのように屎尿分離型のプラスチックの便器とホースと発泡スチロール製の便座と蓋のセットで20,000円(送料込み、2016年の値段)株式会社テスコさんが取り扱っています。。個人輸入の手間を考えればリーズナブルな値段だと思います。届いた箱には「尿を分離することで80%の処理が削減される」と書かれています。期待大です!
便器には尿を落とすジョウロが手前にあります。ここにホースをつけて尿を外部に流しだします。
既存のオガクズトイレに設置しようとすると、このジョウロの部分がトイレ本体に当たります。それを避けて設置しようとすると、座面がずいぶん高くなってしまいます。
横から見るとこういう感じ。処理槽の蓋に穴を開けてパイプを通すことも検討しましたが、処理槽の中では撹拌用のプロペラが回るので、ホースがそれに巻き込まれる可能性を考えると、槽の中にパイプを通すのは難しそうです。それに処理槽に使われているステンレスはとても分厚くて、素人がサンダーで加工できる類でもありません。
上面から見たところ。右がオシッコを受けるジョウロの部分。左は便が落ちる穴。バイオトイレの穴と合わせつつ、この上につける便座の位置も合わせつつ、尿のパイプの水勾配も考えつつ、、、Privy500は2016年の9月に購入したのですが、色々考えてなかなか作業が進まず、その後、50肩にもなり1年間大工作業をお休みしたこともあって、2年目になってようやく作業開始となりました。
不思議なことに、こうやって考えながら放っておくと、脳みそが色々勝手に考えてくれるようで、作業を始めてみるとリーズナブルな解決策が次々と出てきて、作業は比較的スムーズに進みました。
角材を買ってきて下地のフレーム作りから取り掛かりました。写真は溝切りで段差を作っているところです。
フレームに便器を置いて位置決めをします。フレームはギリギリまで高さを下げて、奥行きも切り詰めて調整しました。
この上に化粧板を張りたいのですが、やはり古材を使用していきたい!ということで、車庫や床下を探し回った結果、、、
購入時に家にあった古い長持です。使うあてもなく車庫の奥に眠っていました。長さ1500☓奥行き600という大型の家具、すべて杉の無垢材でできています。解体して板材を活用することにします。
昔の家具は木釘主体で作ってあるので、解体はとても楽。当たり前ですが十分乾燥しているのでバラバラにしても変形したりしないので使いやすい反面、修正が効かない製作時の歪みなどもあるので、その点はよく見定めて転用していきます。
また、相当かび臭くなっているので、軽く洗って拭いて乾燥させて、、、合板を買ってきたほうが作業は全然早いのですが、、、古い無垢の板材を燃やしてしまうのは、忍びないのですよね。。。
また、外壁にも穴を開ける工事をします。木造なので簡単かと思いきや、下地に当たってしまってなかなかの難工事になりました。
ホースを通すパイプを壁に接続して配管工事はひとまず終了。尿は外のポリタンクに溜めます。その後は液肥にするか(といっても自然農なので使う場所がないのだけど・・・)、活用方法を探します。
便座から転写した穴を、長持から切り出した板に再度転写します。それを糸鋸で切って、切り口をヤスリでなめらかにして、、、ついでにオイルステンも塗ってみたりして・・・
こんな感じになりました。更に、トイレ奥の方のモーターなどの機械類を隠したかったので、棚も作ってみます。
長持からの転用でだいたいの形が作れました。板の裏を見ると長持に塗られていた赤いニスが見えるのは愛嬌です。
棚もオイルステンで軽く塗装してあります。なかなか良い感じ。同じく長持から外して転用した蓋の取っ手もなかなか渋いですね。サイドパネルを無塗装にしたことで、少しモダンな印象にできたと思います。(自画自賛〜)
足元はこんな感じで段差を作ってあります。右奥の瓶はオシッコをした後に流す水を入れています。右下のステンレスのケースは、トイレットペーパーを捨てる箱です。このオガクズトイレは屎尿を分離するとトイレットペーパーを処理槽内で処理できなくなるので、こちらも分別することになります。
これがちょっと難儀ですね。ただ、海外ではトイレットペーパーが水洗トイレに流せないところもあって(例えばCOP20で行ったペルーなどもそうでしたが)、短い期間であれば生活習慣を変えるのも楽しんでできます。ただ、それが長い期間になると、たまには辟易したりすることもあるかもしれません。
このバイオトイレとは色々工夫しながら付き合っていこうと思います。