6月8日に終わった田植えから、ほぼ1ヶ月が経過しました。豪雨続きでほぼ太陽が出ない条件でもお米の苗はグイグイ成長しています。田植え時は小指ほどだった苗は分けつも始まっています。しかし、それを上回る雑草の成長速度・・・
自然農で行っている山のツバルの田んぼでは早期除草を心がけています。雑草が稲の背丈を越える前に除草しています。その利点としては、雑草が小さくて柔らかい時の方が草刈りがしやすいこと。あまり草を放置していると稲が草に負けてしまって収量が伸びないこと。の2点です。
草刈りは水を抜いて充電式の草刈り機で条間を刈って、その後下部周りを丁寧に見ていく方法もありますが、今年は草の量がそれほど多くなかったので、鍛冶職人に打ってもらった特製の草刈り鎌だけで草刈りを進めます。この鎌を使う時には田んぼには水を張ったままにします。水底を鎌で撫でる感じで動かすだけで、水が程よい抵抗となって草を左手で抑えなくてもサラサラ刈れていくからです。2時間ほどで切れ味が鈍くなるので、その都度研ぎ直しながら作業します。
立ったり座ったりで足が疲れますが、部屋の中で一生懸命スクワッドするよりも生産性があって良いかも?と思いながら作業しています(笑)
この写真の手前は若干水深が深い場所です。田植え時に草刈りしてから植えているので、適切な深さがあると草は生えてきません。深水管理で高水温を保つと草刈りの手間はグッと減ります。
草が生えてないからと言ってスルーするか、というとそういうも行きません。草刈りのもう一つの目的は、一つ一つの株をチェックするということもあるからです。例えば
この株の茎は黄変しています。そして、何やら黒い虫がいます。このように黄変した茎からは稲穂が出てこない場合もあり、収量減に直結する現象です。
別の株の上では、、、なんとハレンチ(最近使いませんねw)な。。。これ以上子孫を増やされては困るので、見つけ次第トッテツブースで処理します。
過去の投稿でも紹介していますが、イナグロカメムシという種類。落ち葉の下などに隠れて越冬し、この季節になると湧き出してきます。稲の茎の汁が主食というとんでもない虫です。タガメのような性質を持ち合わせていて、捕まえようとすると茎をスルスルっと降りて行って水の中に隠れるという技があります。
飛ぶのはあまり得意ではないようで、畔ぎわの株が被害に遭います。放置しておくと圃場の中心まで移動していくので、早めに見つけて対応した方が良い虫です。
農協主導の慣行農法では苗を作る時に3ヶ月有効な「長期残効性箱施薬剤」と呼ばれる毒を苗土に混入します。毒入りの茎の汁を吸った虫は死んでしまうようです。しかし、その毒は田んぼに流れ出し、川に流れ出し、海に到達して、、、一体どれほどの命に影響を及ぼすのでしょう?
こちらの株はあちこち食害が見られるのと、葉っぱがひとまとめにされている茎があります。
コブノメイガという蛾の幼虫のようです。この幼虫は葉から外して水に落とすと沈んでいってくれます。その後はヤゴやおたまじゃくしの餌になります。
この後は、バッタが出てきて葉っぱを食べたり、収穫前に稲の穂を食害するカメムシが出てきますが、どちらも気にするほどではありません。また、肥料を使わないので、ウンカは寄ってきません。
雑草は様々な種類が生えてきます。多いのはコブシという茎の断面が三角形の草、ヒエも所々に見られます。写真の根本が赤くて強そうな雑草は、この後、大きく繁茂して邪魔になるので根本ギリギリをスパッと切ります。
自然農では刈り取った草はその場に置いておきます。それがやがて腐食の層となって地力を高めることに繋がります。
これはミソハギかな?大きくなると茎が硬くなるので、根元からカットします。
壊滅させるのではなく、ちょっとの間、稲の成長を有利にさせるだけで良いので、神経質に刈る必要はありません。もう1ヶ月もすれば稲の分蘖が進んで背丈も出てきて、条間に陽が届かなくなって雑草は育たなくなっていきます。
こうなっていると気持ちもいいですね。