鹿児島の「山のツバル」に生活の拠点を移してから今年で10年になります。夫婦2人で10年間思考錯誤して低炭素生活の実現度も年々上がってきています。しかし、工夫やDIYではどうしても乗り切れない課題がありました。
それは、移動に関する化石燃料の消費です。
写真、左側の黒い車は、40年前に製造された三菱のジープです。30年大切に乗り続けてきました。ディーゼルエンジンにオランダから取り寄せた排気ガスフィルターを装着しているので、排気ガスは現状販売されている車と遜色のないレベルにはあります。しかし、残念ながら二酸化炭素は排出してしまいます。
今回思い切って購入した右側の軽バンは同じく三菱のMINICAB-MiEV VANです。この先30年乗るつもりで購入しました。この何の変哲もない箱バンが電気自動車だと気が付く人は少ないかもしれません。100%電気で動くPure EVです。2台の車を比較すると40年の時間をヒシヒシと感じます。
2011年12月から販売開始になったMINICAB-MiEV VANはバッテリー容量の違いで2種類のタイプが販売されていました。容量の大きい方は16.0kWhのバッテリー、小さい方は10.5kWhのバッテリーを搭載しています。二つのリチウムイオンバッテリーには容量以外にも違いがあります。後者の方はSCiBという特殊なリチウムイオンバッテリーを搭載しています。
ソーラーパネルでオフグリット+EVライフを楽しんでいる先人たちに話を聞いたところ、SCiBバッテリーは充電が早い(約15分(80%充電までの所要時間))上に充放電に強く、長く乗ってもバッテリーのヘタリが少ないからお勧めです!という評判だったので、10.5kWhのモデルを購入しようと検討していました。メーカーのページでは「20,000回以上のサイクル寿命」を謳っています。
満充電からの走行距離は100kmとなっていますが、平均すると80km程度のようです。「山のツバル」からよく利用する近隣のホームセンターまでは22kmなので、往復可能な距離です。また、最近ではショッピングセンターやコンビニ、道の駅などにも急速充電機が設置されているので、それを上手く活用することで、時間は余分にかかりますが中距離移動も可能だろうと考えられます。
2011年の発売直後は240万円(補助金67万円)という新車価格。その後、補助金の減額に伴って車体価格も減額され、2017年のマイナーチェンジ以降は190万円(補助金10万円)程度に落ち着きました。2017年以降のモデルの方が何かと利点が多かったので、ここに絞って中古を探していたのですが、全然市場に出てきません。
2017年のマイナーチェンジで更新された主な部分
- 集中ドアロック標準装備
- シートヒーター標準装備
- 充電中にエアコンが作動できる設定を追加(ディーラーでの設定変更後に使用可能)
中古車屋やディーラースタッフに話を聞いたところ、まず、MINICAB-MiEV VANシリーズ全体の販売台数が少ない!昨年は年間500台程度。。。その上、法人で購入しているケースが圧倒的に多く、5年の償却期間を経て中古市場に売り渡されるため、高年式の車はなかなか出てこない。という特徴が見えてきました。また、10.5kWhに関しては、さらに販売数が少なく全体の売り上げの1割程度しかないとのこと。つまり、2017年以降のモデルは2022年以降にしか中古市場に出ない上に、その数も凄く少ない。法人利用なので走行距離も伸びてしまう。
ネット上には2020年12月にメジャーアップデートがある!などという話もあり、それにも期待しつつ中古車を探してきましたが、そうこうしているうちに、とんでもないニュースが飛び込んできました!なんと、2020年9月17日から10.5kWh仕様を廃止した!という知らせ!
これでは2016年以前の中古を買うしか無いのだろうか、、、と思いながら、18日(金)にディーラーに在庫確認をお願いしたところ「4台あります」という返答が来ました。なんと日本に4台しか在庫がない!?んん、、、新車なんて生まれてこのかた買ったことがないけれど、これは新車購入を検討するべきだろうか?と思いつつ、19日にディーラーに行って話を聞いてみました。
担当してくれたSさん曰く、それほどポンポン売れていくモデルではないので検討する時間はあると思いますよ〜、ということだったので、腰を据えて検討するために見積もり貰って帰宅しました。月曜日になってSさんから電話があって「遠藤さん、大変です!2台売れちゃいました!!」という連絡。その日の午後は友人を案内する予定になっていたので、すぐディーラーに行くわけにもいかず、気になりながらも友人と昼食をして移動しているときにまた電話「今、在庫数1台になっちゃいました!」以前から付き合いのあるSさんは実直で嘘のない人であることは知っていたので、これは営業トークではないな〜と思い、咄嗟に「押さえてください!」
結果、ゆっくり検討するはずが、MINICAB-MiEV VAN10.5kWh3日間で購入を決めてしまうことになりました。
それ以前に中古車の見積もりなども何回か貰ってみて、これなら新車で購入した方が利があるな〜というボンヤリした思いもあったので、すぐに決断できた背景もありました。例えば、2016年式の同モデルで車体価格110万円の中古車は、陸送費を含めた購入金額が125万円になります。いろいろ取り付けたい装備品をつけると140万くらいになる計算です。補助金10万円を差し引いて新車を購入する場合との違いは40万程度になります。
新車登録時から8年間付属するリチウムイオン電池保証残が2016年登録の中古車の場合は4年。しかも、中古車に保証をつけ直すには手数料がかかる。(バッテリー保証の継承手続きには、手数料12000円+電池残率計測量5000円)また、10年間の特別保証は中古車にはつけることができない、などなどを勘案すると、この車は新車で購入する方が良いのかも。という目処が立っていたのも即決の背景にありました。
10年かけて少しづつ貯めてきた貯金があったのも幸いでした。
兎にも角にも、めでたくEVライフが始まりました。
次なる課題は低炭素な「充電」です!