椎茸のホダ木作りの季節です。秋口に切り倒して乾燥させたクヌギの木を120cmくらいに玉切りしたものに、数十箇所穴を開けて、そこに椎茸の菌が含まれたコマを打ち込みます。菌を打ち込み終わった木をホダ木と呼びます。
本職の農家さんは数百本、数千本というホダ木を作って、主に杉林の中に縦置いて椎茸栽培を行います。菌を打つ作業は家族総出で行っても数ヶ月かかります。半乾燥の木は重いし、ドリルで穴を開けたり、菌を売ったりする作業はいちいち腰にきます。
機会があって1日だけ菌うちの作業に参加させてもらいました。菌うちは誰にでもできる簡単な作業ですが、その前後のプロセス管理にはちょっとしたコツがあるようです。
まず、秋に木を切り倒して葉枯らしをしておくのは、表皮の内側を乾燥させるためだそうです。表皮の内側が乾燥していないと、打ち込んだ菌コマから菌が木に入っていくことができないのだそうです。
同じ理由で、ドリルで穴を開けたあと、菌を打つまでに時間があくときは、穴の中が雨で濡れないようにビニールをかけるなどして養生する必要があります。
そして、菌コマは熱に弱いので、太陽の直射日光の下に放置しない、菌を打ち込んだホダ木も直射日光の下に長時間置くことはしないで、黒い養生ネットを被せたりして、熱対策をする必要があります。
今回一番驚いたことは、ホダ木に使うクヌギの値段です。一本300円と聞いたので、1.2m程度の木が300円なのかと思っていたら、なんと、35年ものの立木が一本300円なのだそうです!!!これはいくら何でも安すぎます。もう少し高い値がつく杉林ばかりできてしまう原因はこんなところにもありそうです。
結果、杉林ばかりになった山では気候変動で増加している豪雨災害時に山崩れが頻発し、杉の木の流木を伴った土石流となり、下流域での被害を拡大させてしまいます。政治の劣化が激しい日本で、こういう社会問題を解決する難しさを感じます。
菌うちを手伝ったお礼に、ホダ木にしにくい根本の太い部分をいただきました。早速割って薪にします!