山のツバルのオフグリットシステムの蓄電池はMSE-500という鉛電池を使用しています。
1月になって寒さが厳しくなってきた頃から、徐々に調子が悪くなってきました。状況としては、晴天時の日没以降のバッテリー電圧が50Vより少し上、翌朝には49Vを割り込まずに充電スタート。といういうのが冬季の通常運転の数値でした。
それが、日没時50V→翌朝47Vまで降下する状況となりました。48Vシステムなので、これ以上降下させるとバッテリーに悪影響が出る数値です。
バッテリーを手配してくださっている「NPO非電化地域の人々に蓄電池をおくる会」の鈴木さんからアドバイスをいただいて、不具合箇所の調査をしました。
調査方法は、全体の電圧を47V(約50%の放電)まで落としてから、充電されていない状態で、各バッテリーの電圧を測るという方法です。
その結果は以下のようになりました。
2.077 | 2.075 | 2.073 | 2.064◀︎ |
2.073 | 2.083 | 2.082 | 2.076 |
2.054◀︎ | 1.990◀︎ | 2.084 | 2.073 |
2.072 | 2.077 | 2.088 | 1.818◀︎ |
2.080 | 2.089 | 2.078 | 2.076 |
2.089 | 2.090 | 2.071 | 2.073 |
劣化が判明したバッテリーには◀マークがついています。
MSE-500は2Vのバッテリーなので、2.1V近辺の数値が出ていれば劣化が少なく、それ以下は劣化のサインなのだそうです。1.999Vと1.818Vの2台は確実に劣化しています。このような組みバッテリーシステムは、弱り始めたバッテリーに集中的にダメージが加わり続ける特性があるようで、物理的な劣化が始まったバッテリーは寿命ということで交換するしかありません。
2.064Vと2.054Vは予備軍なので、この機会に4台交換することにしました。
劣化が進んでいた2台は筐体に割れが発生しています。制御弁式鉛蓄電池のMSE-500は密閉が破れてしまった箇所から電解液成分がガス化して放出され、内部が乾燥してしまうのだそうです。なので、この割れ目を補修して密閉を確保してパルス充電などを行なっても復活することはないそうです。
このMSE-500は通信基地などのバックアップ電源として7年〜10年ほど使用された後にリプレースによって廃棄されます。それを鈴木さんが整備してリサイクルバッテリーとして再販しているものです。
通信基地での通常使用においては試験放電が行われるくらいで、停電の無い日本では完全放電することは稀なので、劣化の少ない優良なリサイクルバッテリーと言えます。今、山のツバルで使用しているものは、311の震災時に完全放電している可能性があるので、少し劣化があったかもしれませんが、2016年に設置してから5年以上頑張ってくれました。
バッテリー交換のついでに他の機器のチェックも行います。写真はインバーター(SK2000)の裏側の吸気ファンの手前につけていた付箋布のフィルターです。かなり砂埃が溜まっています。こちらは発泡ウレタンのモルトフィルターに交換しました。
試しに、バックアップとして保管しているSP3000を設置して稼働させてみました。新しいSPシリーズの方が効率が良いはずですが、待機電力が大きいのか、低負荷でも敏感に反応するファンのせいか、SK2000よりも電気喰いな印象です。
SP3000はスポット的に使用する方が良いのかもしれません。SK2000に戻してしばらく様子を見ようと思います。今回も怪我なく感電なく作業を終えることができてホッとしています。笑
鈴木さん、いつもいろいろありがとうございます!!