2020年以来、4年ぶりの自然農のお米作りです。自分たちの復習も兼ねて一覧にしてみます。
その前に、自然農のお米の特色をまとめてみます。
- 耕さない、肥料を与えない、農薬(農毒)を使わない。農法です。
- 土の中の微生物の力と太陽の力だけでお米を育てます。
- 農機具や肥料を使わないので、石油がなくてもお米が作れます。
- 最小限の二酸化炭素の排出、田んぼからのメタンガスの排出もごく僅かです。
- 農毒が糠(ヌカ)に残留しません。玄米でも安心して食べられます。
- 肥料を使わないので栄養分が豊かです。
- 周囲の環境中の生物多様性を育みます。
今年から品種を、その昔「西の横綱」と呼ばれていた「あさひ」に変えました。一時は一世を風靡した品種です。背が高くなりすぎるのと脱粒しやすい為に機械化に馴染めず世代交代となりました。アサヒにもち米を掛け合わせてできたのが、現在とても評判の良いヒノヒカリです。
ヒノヒカリは背丈が低く、台風などでの倒壊被害が少ないのですが、脱粒しにくいので、足踏み脱穀機での収穫に向かないこと、また、もち米成分が多すぎて、食べ過ぎると太る(笑)食味があっさりしていない、などの欠点があるように感じています。
いきなり田植えができるかというと、もちろん、そんなことはありません。まずは、山の清水が流れてくる溝の復活工事。イノシシが暴れまわって埋めてしまった溝を掘り起こして、水が流れるようにします。オレンジ色のラインの内側に側溝があります。
土砂や倒木などがあり、この作業だけで1週間程かかります。この仕事は3月中には終わりました。
5月2日 種下ろしです。いつものようにパレットに浸水して鳩胸になった籾を1〜2粒づつ種を下ろしていきます。20パレットほど作りました。
パレットは薄く水を張ったプールで養生して発芽を待ちます。1週間後には小さな芽が顔を出してきます。
成長を待つ間に田んぼの横に池を作りました。この池で水温を高めてから田んぼに導水します。この方法はとても有効だったようです。
同時に、田んぼと畑の境界に畝を建てて、両脇と田んぼ全周に溝を作りました。辛い地業ですが自然農の場合これをしっかり作っておかないと、水管理などがやりにくくなるので、気合で頑張ります。
気合、、、まー自然農のお米作りはすべてが気合です。ww
6月3日 種下ろしから一ヶ月、人差し指ほどに成長した苗を、田んぼの池に移します。このまま、養生プールに入れておくと栄養不足で黄変してしまうのを防ぐために移動します。
新しく作った池の中にパレットを移動しました。水底の土まで根が届くと、田んぼに移植したときのようにスルスル苗が伸びていきます。この作戦も大成功でした。
池には水が入りましたが、右側の田んぼは草原のようになっています。慣行農法ではトラクターで耕して、水を入れて代かきをして、、、という作業がありますが、自然農はこの草原に手作業で苗を移植していきます。
6月07日 田植え開始です。草刈り機で表面の草を刈り取って、ウエボーと名付けた道具を使って植えていきます。ウエボーの詳しい説明は2019年のブログを参照してください。苗は15cmくらいに育っています。
6月22日 田植え終了。田植えには述べ8日間かかりました。田植え機だと一瞬で終わりますが、耕さないので手で植えるしかないのです。今年は縦列を25cm、幅方向を50cmで植えています。数千本。。。気が遠くなる作業です。
しばらくすると、雑草がはびこってきて苗が見えなくなります。除草剤などの毒物は使いませんから、手作業で草刈りを行います。この作業も果てしなく気合の入る仕事です。通常2回ほど草刈りを行います。
6月23日 水を抜いて草刈りをするケースが多いようですが、ここでは水を入れたまま草刈りをします。
田植え直後に草刈りをして深水で管理します。雑草の発生を抑制するためです。
6月30日 梅雨明け、田植えと一回目の草刈りが終わった直後の様子です。苗がかろうじて見えています。この写真には水の経路も書き込んであります。山の冷たい清水が、池で温められて田んぼに入っていくようになっています。
7月24日 田植えから1ヶ月後の様子です。順調に育っています。
7月28日 水の表面に藻のような薄い膜が張っているのが見えます。長年、自然農を続けてくると、土の表面に積み重なった腐食の層から、少しトロミのある膜状のものが浮き上がってきます。この層が日光を遮って雑草の成長を抑えてくれるので、これができるようになると2回目の草刈りは格段に楽になります。
トロトロ層とか呼ばれていますが、田植え直後から深水で管理することで層を形成させることができます。
とは言っても、ヒエや浮草が生えてくるので、それは刈り倒しておく必要があります。今年の夏は本当に熱くて、早朝、日が昇る前の1時間くらいしか作業ができません。また、苗も大きくなっている上に深水管理しているので、座り込んでの作業ができません。
中腰で頑張ってみましたが、途中から腰が痛くなり、柄の長い草刈り鎌なども駆使しながら草刈りを進めました。バテバテになりながらも1週間で草刈り終了。
8月14日 草刈り後の田んぼの全体像です。株が太くなってきたのが良くわかります。
8月26日 出穂 種下ろしから約4ヶ月で出穂開始となりました。このあとは受粉を邪魔しないように田んぼには入らないようにします。今年はイナグロカメムシも少なく、ウンカも飛んでいないので安心して見守れました。
一連の作業とは別に一月に一回は田んぼの周囲の草刈りも行っています。電柵を使ってイノシシの侵入を防いでいるため、電柵したの草刈りは必須です。今年は熱かったので除草作業も熾烈でした。。。
8月29日 台風10号が来ましたが、持ちこたえてくれました。自然農の稲はガッシリ根を張るので強いです。
9月5日 穂が出揃いました。肥料も農毒も使わずに、きれいに穂が生え揃います。自然の恵みに感謝するばかりです。感謝しながら見ていられるのはここまでで、この後は収穫作業をいつやるか、という収穫の悩みが始まります。
9月9日 水抜きをしました。この時期に水を溜めたままだと根が弱る、と言われています。ちなみに、土用干しなどは行いません。
10月9日 株の区別がつかないほどに成長しています。しばらく晴天が続く予報となったので、稲刈りを始めました。種下ろしから5ヶ月目です。
ます、稲架掛け用の竹を切り出してきます。山の中から切り出してこないと行けないので、これも重労働です。
なんかグニャグニャのハザになりました。ww
良い感じです。
一刀目!しばらくは楽しく稲刈りしていますが、数日立つと果てしない気合作業となっていきます。
刈って、古い稲わらで束ねて、ハザにかけて。。。それを何百回と繰り返し・・・6日間で稲刈り終了となりました。
10月14日 4セットハザを建てました。この後は籾の水分量を見ながら干しあげていきます。
11月3日 秋雨が続き、作業が止まっていましたが、しばらく雨がふらない予報となったので、乾燥は進んでいませんが脱穀作業を始めました。
いつものように、足踏み脱穀機と唐箕を使って作業します。農業に使う機械の音や排気ガスの匂いが嫌いということもありますが、最後まで手作業で大切に収穫してあげたい。という気持ちで作業していきます。
この手の道具は不具合があっても自分で直せるところも利点です。
11月7日 脱穀終了! 残った藁は来年の稲刈り用に10束ほど保管して、残りは田んぼに戻します。
これまでは、地面すれすれで稲刈りしていたのですが、多年草化の実験をしてみたかったので、少し高い位置で刈り取りをしています。また、雨がちな温かい日が続いたので稲の成長が止まらず、藁を無造作に撒き散らすことができなかったので、株と株の間に敷き詰めていくことにしました。
こでもまた、、、果てしなく気合がいる作業でした。
藁まき終了です。あー疲れた〜 と一息ついてから精米作業に移ります。
まず、籾を干します。秋雨のため乾燥が進んでいなかったので、シートの上に広げて、たまに、上下を入れ替えたり、かき混ぜたり、1日で30kgの籾が18%から15%くらいまで乾燥しました。この程度まで乾燥させれば精米することができます。
通常は玄米を食べているので、精米機の籾を外す部分しか使わないのですが、折角の新米ですから、精米までするために、機械を掃除します。至るところに蛾の幼虫が巣を作っているので、それを丁寧に取り払います。
半日かかりで機械を掃除して、ようやく白いお米ができました!
粒が大きくて食べごたえのあるお米です!
11月13日 ようやく実食 旨い! これ以外の言葉はありません。さっぱりとしていて、歯ごたえもある、良いご飯が炊けました。しばらくは白米ばかり食べることにありそうです。太るかな(笑)
約半年間のお米の旅、お付き合いいただきありがとうございます。
この後は、多年草化に向けた冬期湛水の用意をしていきます。